涼しいカットソー algorithm Tシャツとは何か?
2013-05-15


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涼しいカットソー algorithm Tシャツが出来るまで
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のつづきです。


まず、一番重要なのは生地選びです。

当初予定していたのは、綿100%の生地でした。
これを、ありとあらゆる生地を触って歩きました。

しかし、無いのです。
僕が求めている生地が無いのです。


やがて、それがなぜなのか?が、判明します。
日本のカットソー生地は、10番、20番、30番という風に、10番ごとの太さで糸を作っています。

なので、その糸をいくら織ったとしても、僕が思っている厚さの生地にはならないっていう事なんです。

機械的な番手(太さの基準)に作った糸は、論理的に感覚的に正しい厚さの生地を作るという目的とは関係無いのです。

それは、あくまで、『そういう仕組みになっている』という事に過ぎないのです。


そういう部分は、日本の繊維産業が、『殖産興業』『富国強兵』を合い言葉に国策産業として作られ、民営に払い下げられた歴史と多いに関係しているのではないかと思います。


日本の繊維産業は、いまだに体育会系であり、古い体質を温存したままです。


それはさておき、
結果的にalgorithm project001では、当初の予定よりも薄い生地が選ばれました。

なぜか?というと、綿100%では無い使えそうな生地を見つけたからです。

詳しい事は企業秘密なのですが、ヒントは、60/40クロスというアウトドア用の生地があるのですが、この生地はコットンとナイロンという縮率の異なる糸を組み合わせることによって、雨に濡れた時に防水効果を発揮するというものです。

これにヒントを得て、洗濯時の縮率の変化のコントロール。
又、汗をかいた時の生地のコントロールというものを思いついたわけです。


なので、綿100%よりも比較的生地が安定し、暑い夏でも、涼しい感じがするということなのです。


リヨセルを混紡することによって、薄いながらも滑らかさと張りがあり、よれよれにならないギリギリの状態を作ることが出来ました。

色は、黒です。

これは、Tシャツを『フォーマル=公式の場』で使えるようにする為の第一歩として必要な色でした。

それに、黒ならば、最低限の薄さにしても透けません。
目的に一番適した色なのです。


その他、ベンチレーション(空気をうまく外に逃す)構造として、膨らませる部分と絞る部分を作り立体化する。

肩のつなぎ目のラインを骨の後ろにずらして着心地を良くする。

前後の長さを変える。

これは、かがんだ時、デスクワークをする時に、自然と前屈みになりますので、後ろを長くしないと後ろが短くなってしまうからです。

首まわりや裾まわりも伸びないないように、通常のTシャツよりもかなり折り返しを短くしています。

シンプルなものほど難しい。
デザインというのは、そういう面があるのですが、一見しただけでは全く分らないと思いますが、様々なアイデアが盛り込まれています。


そして服は出来上がりました。


しかし、このプロジェクトは、服が出来上がった時が完成ではなく『始まり』なのです。


なぜなら、このプロジェクトは、『人間を苦しめる非常識な常識に対して、人々が声を上げ、それを変えていこう』というプロジェクトだからです。


それは、『非常識な常識』に実際に苦しんでいる人々が、実際に変えていかない限り、何も起こりません。


今はまだ、「着心地や良くてカッコ良くて涼しいTシャツがあって良かったね。」
こういう状況なわけです。


僕は、自分達で作ったこのTシャツそのものが、世界中で販売されるということを考えているのではありません。


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