2014-02-04
その行使を制限するためには、そのような制限をすることがやむを得ないと認められる事由がなければならないというべきであり、そのような制限をすることなしには選挙の公正を確保しつつ、選挙権の行使を認めることが事実上不能ないし著しく困難であると認められる場合でない限り、上記のやむを得ない事由であるとは言えず、このような事由なしに国民の選挙権の行使を制限することは、憲法第15条1項および3項
、43条1項並びに44条但し書きに違反するといわざるを得ない。またこのことは国が国民の選挙権の行使を可能にするための所要の措置をとらないという不作為によって国民が選挙権を行使することができない場合についても同様である。
全国において選管が投票所の繰上げを行い、投票時間の不平等を
推し進めたことは、日本国民の投票の機会を奪い、選挙権という基本的人権を
侵害するものである。そして多数決で国会の議決が決まることから
全国で、投票時間の恣意的な繰上げが行われたことは、少数の国民が多数の国会議員を選ぶということにつながり、日本の全有権者にその影響がおよぶものである。これは、人の平等を定めた憲法第14条に違反するものであり一票の機会を奪うものである。
日本国憲法第14条1項は、「すべて国民は、法の下に平等であって人種、信条、性別、社会的身分または門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」と規定している。この「法の下の平等」は、投票機会の平等についても要求している。
選挙権は政治的権利である。憲法の保障する「法の下の平等」の原則に照らして考えても、住所によって選管の恣意的な判断によって国民一人一人の権利が差別されることは憲法上、許されないことは明らかである。
「法の下の平等」は投票機会の平等についても要求している。住所によって選挙権の差別を行って投票時間を選管が恣意的に繰り上げて選挙の機会を全国の三分の一の投票所において剥奪していることはいかなる論理で合憲であると正当化できるのだろうか。
そして、選管がその恣意的な意図により投票時間を繰り上げることの利益よりも
憲法で保障された、選挙権の保障のほうの利益が優越することは論をまたない。したがって、先の衆議院選挙は違憲無効である。
(参考 在外日本人選挙権制限違憲訴訟判例 最高裁判決 (最大判 平17・9・14民集59巻7号2087頁 判時1908号36頁)および下級審判決 (東京地裁判決平11 10 28 判時1705号50頁東京高判平12 11 8 判夕1088号133頁)
最高裁 大法廷 判決 平成21年 9月30日(参議院議員選挙無効訴訟)
第23回参議院通常選挙は、適正な手続きを保障した憲法第31条違反である。
<選挙において適正な手続きが保障されるべきであることを指摘している憲法学者の
著作からの引用>
我が国の憲法学をリードしてきた憲法学者
伊藤正己元最高裁判事の憲法入門「第四版」(有斐閣双書)
の64ページ「選挙」の章にはこう書いてある。
「選挙法を議会が制定するのは、犯罪人に刑法をつくらせるようなものであると評される。
これは選挙法がその性質上、党派的な考慮によって左右され、公正な選挙法は、通常の立法手続きでは望みにくいことを表している。衆議院議員の定数配分規定が最高裁判所によって違法と判断されたにもかかわらず選挙権の平等の要求がなかなかみたされないのはその例証であろう。(中略)
選挙の意味 (65ページ)
国民は主権者であるが、すでにのべたように直接に国民の意思で国政を決定できる範囲は狭く、憲法は、国民が代表者を選定して間接に国政に関与するという間接民主制を原則としている。
国民がこの選定に参与するための制度が選挙である。近代諸国家において、選挙こそは
主権者である国民の政治参加の最も普通の方法であり、
それだけに選挙が公正に行われることは国民主権の核心であるといわねばならない。
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